「AIが仕事を奪う」という嘘


「AIが仕事を奪う」ということについて、ちょっと冷静に考えてみる。
まずはこの短いフレーズを、もう少し具体的にすると。

”人にしかできないと思っていた仕事が、AIで置き換えることができるようになり、結果的にその仕事を「人間がやらなくてもいい」状態になること”

こういう状況ではないかと。ではこのAIは、誰が何の目的で作るのか。

もちろんAIなので「自然発生的に生まれることはない」。
なので、誰かが、人がやらないですむことを目的として、開発するわけだ。

で、置き換えを狙う仕事とは何か?

1.人がやるには、危険で辛い仕事
2.人がやるには、耐えきれないような単調で、そのためミスをしやすい仕事
3.人を採用することが難しい、つまり人がやりたがらない仕事
4.人を育てていくのにはあまりにも時間がかかる、経験と勘が重要な仕事
5.以前からの慣習だけで成立していて、存在に合理性がない仕事

こう考えてみると、4以外は、そもそも人間がやる意味を失っている仕事だ。



そして4についても、もう少し掘り下げて考えてみよう。

4の仕事の一つの例として、飛行機のパイロットがある。

ベテランのパイロットを育てるには、長い時間とコストがかかる。

なのでどうするのか。もちろん教育は必要だけど、機械に置き換えられるものは次々と置き換えている。

例えば最新鋭の旅客機が悪天候でも安定して飛行し、視界がほとんどなくても着陸できるのは、全て機械の支援、コンピュータの支援があってできることだ。聞くところによれば、離陸から着陸まで、ほとんど機械任せでも飛行できる。しかし天候や空港の状況は刻々と変わる。変化に対応し、柔軟な運用をするには、今後もパイロットは必要なのだろう。

こうやって考えてみると、人間は、自分自身がもっと楽になるために、人間がやりたくない仕事、人間では手に余る仕事、そういうことをコンピュータという機械に任せてしまおうとしているのだと言える。

つまり「AIが仕事を奪う」のではなく、「AIに仕事を押しつける」、もしくは人がやりたくないこと、やらない方がいいことを「AIに任せる」という方が正確だ。

デパートのエレベータからエレベータガールがいなくなったのも、路線バスから車掌さんがいなくなったのも、その方が便利で快適だと思ったからじゃないか。

しょせん道具。うまく使って、もっと人間が楽しく安心できる社会を作る。
ひたすらそれだけを考えた結果の、極めて人間らしい結果だとも言える。

個人的には、街から気の利いた個人商店が無くなっていく方が嫌だな。

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