スキップしてメイン コンテンツに移動

機械学習に取り組むために大切なこと

あるイベントでMAGELLAN BLOCKSについて説明したことがキッカケで、福岡本社まで来ていただいた製造業の社長。その会社の製品は、非常に斬新な方法で工場の電力消費を抑えるものだった。取り付けさえすれば効果は出るんだけど、取り付けないとどのくらい効果があるのか説明しずらい。

なので、BLOCKSを使って「どのくらい効果があるのか」を、事前に予測できないか。というのが相談だった。

話を伺うと、「どういうことが結果につながるのか」ということについて、当たり前なんだけど、かなり深い知識と経験があるのはハッキリとわかった。

なので「きっと、できると思います。だから、ぜひやってみてください。」と回答した。
そしたら、表情がちょっと曇った。「え?やってくれないんですか?」

なので、機械学習に取り組む人たちにとって大切なことについて説明した。



1.自分たちで取り組む


機械学習に取り組みたいほどの内容というのは、たいていの場合何かをドラスティックに変えることだ。

確かに世の中、機械学習のエキスパートはいる。

お願いしたら色々やってくれると思う。でも、色々やってもらうということは、色々わからないまま進むということだ。

ある企業は、1年以上にわたりエキスパートを起用して、すごい結果を出せるようになってきた。で、どうなったのかというと、やっぱり自分たちは以前と変わらず、大したことはわかってなくて、そのエキスパートがいないと何もできない状態だった。

自力で考えることができないというのは、とても危険な状態だ。相手の都合でスケジュールは決まる。相手の都合で、できること、できないことが決まる。さらには機械学習で何事ができるようになった時、その先の未来を自力で見抜くことができない。

相手がコンサルだったりSI会社だったりすると、会社の情報は漏らさないとしても、そこで得たノウハウは同業者に持っていく可能性もある。


2.プログラムよりデータ、データより業務、業務より社会


機械学習の勉強をするために、プログラミングからはじめている人がいる。仕組みを理解することは重要だと思う。でも同時に、やればやるほど、重要なのはプログラムではないことに気がついてくると思う。

ニューラルネットワークのプログラミングには、人それぞれの流儀があるのではなく、実績のあるネットワークモデルというのがあって、課題にあわせて適切なものを使っていく。そしてニューラルネットワークを使った仕組みは、与えられたデータから特徴を見つけ出し、そこから何かを予測したりするものなので、どんなデータを与えるかで予測精度は大きく変わる。

天候が大きな影響を与えているものもある。キャンペーンが重要なのかもしれない。材質が影響を与えているかもしれない。重要な因子は何か。そこにつきる。

ありがたいことにニューラルネットワークは、重要度の低い因子を入れると、重要度が低いのを見抜いてくれる。(だからといって、なんでもかんでも与えると計算にめちゃくちゃ時間がかかってしまうんだけどね。)だから、因子の選別に神経質になるよりも、とにかく影響の強い因子を上手く見つけること。

そうなると因子の見極めが重要なわけだ。つまり販売数を予測するのであれば、なぜその商品を人は買うのかということに精通している必要がある。機械の効果を予測するのであれば、その機械がやっていることに精通していなければ、どんな因子が重要かなんてわからない。

だからこそ、業務に対する深い知識が必要なのだ。そして、その業務というやつは、お客さんの気まぐれな気持ちに左右されているかもしれない。天気や自然の影響を受けているかもしれない。

ある小売店で、昼過ぎに雨が降ると売上が全く伸びなくなる。と聞いた。だから降水量を因子にして売上予測をしてみた。結果は、なんとなくモヤモヤした感じだったので、試しに日照時間を入れてみた。

そうしたら、なんと降水量よりもはるかに高い予測ができるようになった。

何かの本で読んだんだけど、人間の脳は、新石器時代からあまり進化していないらしい。つまり現代人は、新石器時代の人が感じるように感じ、新石器時代の人が行動するように行動しているらしい。

日照時間が影響を与えているというのは、澄み切った青空で人は行動したくなり、曇り始めると行動を抑え始める。雨や暗闇は行動しない。とも言える。長く食物連鎖の中間にいた人類は、捕食される生き物でもあったわけだ。新石器時代とかわらない意識があるのだとしたら、そういう感性があるのだとも言える。

こんなぼくの想像が、真理をついているのかどうかはわからない。でも機械学習に取り組めば取り組むほど、こうした人間という生き物の心理とか、社会の感性というか、そういうことがとても重要だと思えるようになってくる。

それは、つまり社会は経済の中にあるのではなく、経済が社会の中にある。ということにつきるのだと思う。人は、経済合理性だけで動いているのではない。人という生き物の感性を理解すること。そこに最適な因子を見つけるヒントが隠されている。


3.お金をかけたら負け


そうやって機械学習を駆使して、いままで想像もできなかったような結果を出すことができたら、おそらくビジネスの価値は飛躍的に高まるかもしれない。

100億円の価値を生み出すなら、30億円かけてもいいんじゃないかとか考える人がいるかもしれない。

でも30億円でも60億円でもいいんだけど、競合企業が全く同じことを数千万円でやってしまったらどうなるんだろう。数億円のPOCが、数百万円で行えたらどうなんだろう。その段階で勝負があるんじゃないか。そう思う。

金額が大きく違うというだけではない。多額の金額を投資した仕組みは、たいていの場合コンピュータの仕組みだけでなく、関わっている体制も複雑だ。だからシンプルで柔軟な仕組みと、複雑で巨大な仕組みは、変化への対応速度でも大きく差をつけられてしまう。


BLOCKSが実現していること


ぼくらは、未来は機械学習を必要としていると確信している。だからこそ、多くの人が機械学習を使えるような時代に向かいつつあるのだと思っている。つまり、機械学習はコモディティになっていくのだ。機械学習は、誰もが取り組めるものになっていなくてはならないのだ。

きっと、専門家しか取り組めないような仕組みを、未来は受け付けないだろう。

だからこそのBLOCKSなんだ。

BLOCKSを使うには、学習データを準備するだけでいい。ある商品の過去の販売数と、その商品の売上に関連すると思われる因子を、CSVファイルにまとめるだけだ。

そのCSVファイルをBLOCKSに見せれば、自動的に学習が行われる。ニューラルネットワークのチューニングは、BLOCKSが自動的に行う。だから、隠れ層の数を調整したり、細かな数値を微調整しながら最適解を見つける作業もいらない。

学習が終わったら、画面にブロックを置いて線でつなぎ、学習させたばかりのモデルを選択するだけ。

しかも初期費用無し、月々10万円から使える。


話は冒頭の製造業社長の話。

そんなことを説明して、それから言った。

ぜひ自分たちで取り組んでください。必ず結果は出ます。そして、その結果は、ぼくらも真似ができない、誰のものでもない御社の財産になるはずです。

なんとなく、開発してくれるならお金はいくらでも出す。という雰囲気だったのに、ぼくらが突っぱねたと思われたかもしれないなと、その後も気になっていた。

そうしたら数週間後にメールが。

なんと誤差0.03%で予測ができるようになったとのこと。
BLOCKSサイトのドキュメントで勉強して、自力で取り組んで、自力で出した結果だ。
なんか、とても嬉しかった。

BLOCKSの周りには、そんな人たちがたくさんいる。

BLOCKSを前に、自社製品のこと、利用者のこと、商品を買っていく人のこと、その生活、社会のこと。そういうことをキチンと考え、因子を取り出し、BLOCKSに見せていく。そして、驚くほどの高い精度で、商品や、人や、社会を予測していく。

そんな人たちが多くなっていくってことは、未来って思ったより素晴らしいものになっていくんじゃないか。なんか、そんな風に思えてしかたない。

ぼくら自身、BLOCKSから、教わっていることなんだよな。

コメント

このブログの人気の投稿

福岡ではじまる新たな動き「OPEN AI LAB」

ぼくたちは、福岡が本社だ。このエネルギーにあふれ、人の可能性を否定しない街は、ぼくたちのあらゆることの原点でもある。


だからこそ、福岡が刺激的に成長していくことは、ぼくたちにとって欠くべからざることなのだ。

テックパークという学童保育をやっていることも、九州経済産業局と一緒に地元製造業のために機械学習を学ぶ場を作ったことも、すべてそういう思いがあったから。

でも、もっと継続的に。地元企業同士が学び、知見を共有しあいながら、機械学習について研鑽を深め、事業を生み出していくことができたら。

実際、地元企業からとても多くの相談を受けるようになって、わずかなアドバイスでめちゃくちゃ画期的なサービスを完成させた人たちもいるし。そして、この土地は、周りと協力しあうことがとても好きな土地だし。

やっぱり機械学習は、理屈よりも実践だ。機械学習の権威が「無理じゃないかな」と言ったことが、やってみたら意外にも成果が出たこともある。

だから、まずは実践すること。迷わず実践してみて、成果が見込まれたら本格的に取り組めばいい。そしてこういうことは、一人で悶々と進めちゃダメだ。仲間と一緒に、あーだこーだ実験したり、成果を共有しあいながら進める。できるなら、会社も違い、業種も違う人たちと一緒に。そうなんだよ。こういうことが得意なのは、やっぱり福岡の人間だよな。そう思ったわけだ。

色々な思いがあって、ふくおかフィナンシャルグループの人たちと意気投合し、ざっくりとしたアイディアながら、高島市長も賛同してくれたし。

そして、いつもいろんな意見を交わしあっているソフトバンクが、「やるよ!」って男らしく笑顔とともに引き受けてくれたし、機械学習で世界を圧倒的にリードしているGoogleも、もちろんやりますよ。といってくれたし。

ということでスタートします。

オープンな場で、機械学習について学び、事業化に向けて実践していく場。
OPEN AI LAB

これはエンジニアの集まりではなく、事業家の集まり、ビジネスマンのためのもの。

そういう人たちが実践できるような、数々の手段や、事例や、ワークショップや。そういうものを通じて、理屈だけじゃなく、成功までの道筋を体感できるような。そんな活動をはじめます。

とびっきりの道具を使って、自分のビジネスに劇的な革新を起こしたい人は、ぜひここに集ってほしい。最高の体験を…

工場の不良品検査を機械学習で実現 BLOCKSに画像分類モデル登場

製造業にとっては、生産している商品が全てだ。


会社の体制も、工場の仕組みも、顧客の信頼を裏切らない商品を生産するために存在する。

工夫に工夫を重ね、素晴らしい精度で商品を生み出しているからこそ、商品のわずかな傷や、不良も見逃せない。

そんな製造業では、最終検品をベテラン社員が目視で行なっているところが非常に多い。


社員は製品を熟知しているし、新しい製品が出てきたとしても、少しレクチャーを受ければすぐにコツをつかむことができる。

でも、人間は疲れるし、体調だって崩すこともある。そして社会全体が人口減少なんだから、人手に頼っているのはコスト的にも、拡張性という点でもリスクだとも言える。

そんなことを考えてしまうと、例えばデジタルカメラの精度は人間の目をはるかに超えているわけだし、そんな作業はコンピュータに任せることはできないのか。そう思っている会社は極めて多い。

コンピュータを使って不良品を見つけ出す。

簡単なようでいて、これはなかなか難しい課題だ。

だって製品の仕様はコロコロ変わるわけだし、バリエーションもたくさんあったりする。

機械学習を使って判定させようとすると、新しい製品が出るたびに、新しい仕様が決まるたびに、新しく何千枚、何万枚と画像を撮影して学習させなければいけないとしたら、多分そんなことやってられない。

でも、もしも、わずか100枚くらいの画像を見せて、極めて高い精度の判定ができるとしたら。もしも学習が10分ちょっとで終わるとしたら。

そんなに簡単なら、新しい商品が登場するたびに、写真をとって学習させ、すぐに使ってみることができるだろう。

だから。



製造業のみなさん、おまたせしました。

そんなことを実現するMAGELLAN BLOCKSの新しい機械学習モデル「画像分類」がリリースされました。

新しい画像分類モデルは、転移学習という手法を使っており、あらかじめ世の中の様々な画像で物の見た目から特徴をつかむことを学習させてあります。だから不良の画像が100枚、正常の画像が100枚といった少ない枚数でも、不良という画像にはどんな特徴があるのかを、極めて高い精度で見つけ出し、判断することができるようになります。

使い方は簡単。

例えば良・不良の判定をしたいなら、goodというフォルダにgoodな画像を入れ、NGというフォルダにNGな画像を入れ。そしてBLOCK…

東京に縛られるな。福岡移住のすすめ。

九州の人には信じがたいことかもしれないけれど、東京の人たちは「どこの出身」とか「どこに本社がある」とかは、大して興味がない。そんなことより、その人、その人の感性、その人たちがやっていること、ポリシー。そういうことのほう興味があるし、重要だ。

でも、九州の人たちは、地元から来たとか、地元企業だというだけで、放っておけなくなる。

しかも、地元では「九州」というカテゴリはほとんど意味がないのに、東京に来た瞬間に「九州」は、大切な地元。九州全県出身者が、がぜん愛すべき地元出身者になるわけだ。



だから、ぼくは東京でのプレゼンで、「本社は福岡です。」「今日は福岡から来ました。」と呼びかけてみたりする。

呼びかけてみなくても、福岡に住んでいる間にしみついてしまった博多弁の片鱗が出てしまって

「あのですね」
「それでですね」
「ですからですね」

とか全く無自覚に言ってしまったりする。そうすると、なんかプレゼン終わった後にニヤニヤ近づいてくる人が必ずいる。

まー、つまりこういうことっていうのは、ある意味ボーナスポイントみたいなもんで、本当ならコンセプトで勝負し、中身で訴えなければならないのに、「地元」というプレゼントをもらってしまえる。図らずも心の友が登場する。という感じなんだな。

でも、それは今九州に住んでいる人のおかげというよりも、これまでの長い歴史の中で、先人たちが築きあげてきた文化だったりするわけだ。

そして素晴らしいことに、ぼくのように東京から移住した人間であっても、やっぱり地元なのであって、放っておけない仲間として扱ってくれる。

だから東京で最高のビジネス経験をした人は、例えば福岡に拠点を移し、そして福岡を飛び出して仕事を広げるのがおすすめ。どこへ行っても、愛すべき「地元」の仲間、先輩がいて、放っておけない気持ちでさりげなくアドバイスしてくれる。

そういう人は、東京から離れているとか離れてないとか、全く関係ないもんな。

デキるやつほど、東京に縛られるなよ。ということなんだけどな。