2014年12月18日木曜日

「活路」についての家訓

高校時代、少林寺拳法にのめり込んでいて、腕にはかなり自信があった。
そんな若かりし頃、たまたまジイちゃんの家で二人になったら、突然言われた。

「月明かりのない夜、何人いるかわからない相手から闇討ちにあったらどうするか?」

このジイちゃん。古武道の名人で、神田で道場を開いていたこともあり、道場破りを何度もやったとか、蔵の南京錠を真剣で叩き切ったとか。とにかく自分の中では伝説の男みたいな人なんで、質問の意図を計りかねていたんだけど。とりあえず思いつくことを言った。

「とりあえず一番強そうな奴をやっつける。」

「バカか、相手は複数。真剣を持っているんだぞ。」

てか、今時そんな状況ねーよ。とは思ったけど。じゃぁどうすんのさ。

「とにかく逃げろ。逃げれば、相手は一度に襲えなくなる。そして最初に追いついてきた奴が近づいたら、膝をつき身をかがめ振り向きざま脛を切れ。」「そして、一人ずつ倒せ。」「そうすれば生き延びることができる。」「わかったか。」

とりあえず。「わかった」とは言ったけど、何を言いたかったのか、なんかよくわからなかった。

先日、親父の葬式があり、叔父さん(親父の弟で、伝説のジイちゃんの息子)にこの話をしたら、叔父さんは代々伝わる家系図を調べたことがあり、このことをよく知っていた。

なんでも、何代か前の先祖が剣術大会で優勝した時の話。優勝が決まった後、主催者の殿様が「お前はかなり腕が立つので、剣術指南役と勝負してみろ」ということになった。そしたらまた勝ってしまって、「あっぱれ」ということになり、その日は食事やらお酒やらを飲んで夜遅く帰宅となった。

その帰路。指南役一派が待ち伏せをして、酒が入った祖先を取り囲み、斬り殺してしまった。

一報を聞いた一族は、すぐに追っ手を出したんだけれど、犯人はわからず、仇討ちは幕府から禁止されていることもあり、無念の結末となった。

つまりジイちゃんが言っていたのは、この話なわけで、どうやら代々この話を家訓として言い伝えているらしい。

ようするに、実際のところは、真っ向から立ち向かって討ち死にしたわけなんだけど、この話の家訓としては、「絶体絶命の状態でも、必ず活路はある」「死に物狂いで活路を見出し、生き延びろ」ということなんだな。

なんとか活路を見出しながら生きているつもりなんだけど、もしかしたら本当の活路に到達してないのかもしれないな。とかモヤモヤ考えてしまう。

そういえば、討ち死ににあった祖先の何代か後の男。浦賀沖に来たペリーが武力により開国を要求した時、槍を一本持って横須賀まで馳せ参じたらしい。単純っていえば単純なんだけど、そういう人。俺は好きだなぁ。てか、槍一本で立ち向かうってのは、家訓活きてないじゃんと思いつつ、俺の血の話でもあるので、よくよく噛みしめないと。

ちなみに馳せ参じた時の一本槍。闇討ちにあった祖先を不憫に思った殿様から賜ったものだったらしい。

やばいな。同じことやりそうだ。